株式市場には、大きな価格変動が起こったときに取引を一時停止する仕組みがあります。これを**「サーキットブレーカー」**と呼びます。
急激な暴落や暴騰を防ぐために導入されており、特に米国株や日本株の大暴落時に発動されることで話題になることが多いです。
この記事では、サーキットブレーカーの意味・発動条件・日本と米国の制度の違い・過去の発動事例を詳しく解説します。
1. サーキットブレーカーとは? 意味を解説
サーキットブレーカー(Circuit Breaker)とは、株式市場や金融市場で急激な価格変動が発生した際に、自動的に取引を一時停止する仕組みのことです。
✔ 相場の過度な混乱を防ぐために導入された安全装置
✔ 急激な株価暴落(または暴騰)時に発動
✔ 日本・米国・欧州など、世界各国の市場で採用されている
特に、大規模な株価暴落時には**「サーキットブレーカーが発動した!」とニュースになる**ことが多いです。
2. なぜサーキットブレーカーが必要なのか?
株式市場では、急激な価格変動が起こるとパニック売り(投げ売り)や過熱した買いが発生し、市場が混乱する可能性があります。
このような状況を防ぐために、一定の基準に達した際に**「冷却期間」として一時的に取引をストップ**し、投資家が冷静な判断をできるようにするのがサーキットブレーカーの目的です。
例:リーマンショック時(2008年)やコロナショック(2020年)では、米国市場で複数回発動しました。
3. 日本と米国のサーキットブレーカー制度の違い
■ 日本のサーキットブレーカー制度(東京証券取引所)
日本の株式市場では、個別銘柄ごとに価格変動を制限する**「値幅制限(ストップ高・ストップ安)」**が導入されていますが、日経平均株価やTOPIX全体に適用される「サーキットブレーカー制度」は存在しません。
✅ 主な制限
- 個別銘柄には「ストップ高・ストップ安」の値幅制限がある
- 日経平均や市場全体に対するサーキットブレーカーは未導入
- 先物市場(取引所CFD・日経225先物)にはサーキットブレーカーが存在
✔ 日本では、個別銘柄の取引制限が中心であり、市場全体を止めるサーキットブレーカーはない。
■ 米国のサーキットブレーカー制度(ニューヨーク証券取引所)
米国株式市場(NYSE・NASDAQ)では、市場全体に対する明確なサーキットブレーカー基準が設定されています。
✅ 発動基準(S&P500の下落率)
- レベル1:7%下落 → 15分間の取引停止
- レベル2:13%下落 → 15分間の取引停止
- レベル3:20%下落 → その日の取引終了(全面ストップ)
✔ 米国では、市場全体の急落を抑えるために明確な発動基準がある。
✔ 2020年のコロナショックでは、1週間で4回も発動された。
4. 過去に発動されたサーキットブレーカーの事例
① 2020年 コロナショック(米国市場)
- S&P500が7%下落し、レベル1が発動(取引15分停止)
- その後も市場は混乱し、1週間で4回発動
- 3月16日には、レベル2(13%下落)も発動し、さらに取引が停止
→ 市場がパニックになったことで、史上最多のサーキットブレーカー発動となった。
② 2008年 リーマンショック(米国市場)
- 9月29日:ダウ平均が777ドル急落(当時史上最大)
- サーキットブレーカーが発動し、一時的に取引停止
- 世界的な金融危機の引き金となった
→ この経験を受けて、米国では現在の「7%・13%・20%」の基準が導入された。
③ 1997年 アジア通貨危機(米国市場)
- ダウ平均が7%下落し、取引が停止
- 新興国市場の通貨暴落が影響し、世界的な株安へ発展
→ 米国のサーキットブレーカーは、世界の金融市場の混乱を抑えるためにも機能している。
5. サーキットブレーカーとストップ安の違い
サーキットブレーカーは市場全体の取引を停止する仕組みですが、日本市場には代わりに**「ストップ安・ストップ高」**という制度があります。
項目 | サーキットブレーカー | ストップ安・ストップ高 |
---|---|---|
対象 | 市場全体(指数) | 個別銘柄 |
発動条件 | 指数の一定割合の変動 | 1日の値幅制限に到達 |
主な国 | 米国、中国、欧州など | 日本 |
→ 日本には市場全体を止める仕組みはなく、個別銘柄の売買制限(ストップ安・ストップ高)が中心。
6. まとめ
✔ サーキットブレーカーとは、株式市場の急激な価格変動を抑えるために取引を一時停止する制度
✔ 日本では市場全体のサーキットブレーカーはないが、個別銘柄の「ストップ安・ストップ高」がある
✔ 米国では「7%・13%・20%」の下落率に応じて取引を停止する明確な基準がある
✔ 過去にはリーマンショックやコロナショックで複数回発動された
サーキットブレーカーは、市場のパニックを防ぐ重要な仕組みですが、発動されたときは市場が大荒れしている可能性が高いため、投資家は慎重な判断が求められます。
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