2025年4月7日、東京株式市場は歴史的な大荒れの展開となった。日経平均株価は取引開始直後から急落し、一時2900円超の下げ幅を記録。心理的な節目とされる3万1000円台を割り込む場面もあり、市場関係者の間に緊張が走った。
今回の暴落のきっかけは、アメリカのトランプ大統領による「一律関税」および「相互関税」政策の発動。世界規模の貿易摩擦への懸念が一気に広がり、投資家心理は急速に冷え込んだ。株価下落は一国の問題にとどまらず、世界各地の市場で同時多発的に進行。「世界同時株安」という最悪のシナリオが現実のものとなっている。
■ 一時2900円超の急落…日経平均は3万1000円割れ
4月7日午前、東京市場が開場すると、即座に売り注文が殺到。日経平均株価はわずかの時間で大幅安となり、一時は前週末比で2900円を超える下落となった。午前10時時点では2258円44銭安の3万1522円14銭。2023年10月以来、実に1年半ぶりの安値水準である。
背景にあるのは、アメリカの急激な保護主義政策だ。トランプ政権は4月5日、日本を含むすべての貿易相手国に対し、**10%の「一律関税」**を発動。そして4月9日には、**最大50%にもおよぶ「相互関税」**を導入予定と発表。これにより、中国は即座に報復措置を宣言し、世界規模の貿易戦争突入への懸念が急拡大した。
この動きを受けて、4日のニューヨーク株式市場ではダウ平均が史上3番目となる2231ドルの大幅下落を記録。その影響は週明けのアジア市場にも波及し、東京市場も例外ではなかった。
■ セリングクライマックスか、それともまだ初動か?
現在の株価急落が「底」なのか、それとも「まだ初動に過ぎない」のか、市場には判断不能な空気が漂っている。
2024年8月5日にも、日経平均が短時間で暴落したフラッシュクラッシュが発生し、一時的なセリングクライマックスを迎えたあとに急速に反発した例があった。しかし今回の下落は、あの時のように一過性の材料による反応とは言い難い。それどころか、根本的な構造不安を市場が織り込み始めた兆しとも受け取れる。
■ 最大の問題は「米国の信用失墜」
今回の混乱の引き金は確かに関税政策である。しかし、本質的な問題は「アメリカという国の信用そのものが揺らいでいる」ことにある。
トランプ大統領はこれまでも、国内外に対して一貫性のない発言や「ディールによる方針転換」を繰り返してきた。仮に今後、「やっぱり関税は撤回」「交渉で軽減」などの展開があったとしても、一度失った信頼は簡単には戻らない。貿易相手国としても、「また同じように裏切られるのでは」との懸念から、アメリカとの再交渉に慎重にならざるを得ない。
さらに、関税の対象国からの報復関税も現実味を帯びており、国際的な経済摩擦の連鎖が懸念されている。
■ 米経済にもダメージ…戻らないのは「株価」より「実体経済」
トランプ大統領は「株価の下落は薬であり必要なプロセス」と述べているが、その“薬”の副作用はあまりにも大きい。関税政策は、確かに貿易赤字の是正を掲げてはいるが、輸入コストの上昇やサプライチェーンの混乱を引き起こし、米国経済そのものを冷やすリスクを高めている。
株価が一時的に大幅下落した後、テクニカル的な反発で戻ることはあり得る。しかし、実体経済はそう簡単には回復しない。企業の業績悪化や消費者心理の冷え込みは、長期的に経済成長を押し下げる可能性が高く、まさに“取り返しのつかない”事態になりつつある。
■ 投資家の間で「退場者続出」…恐怖と諦めの声も
こうした背景の中で、投資家の中には損失に耐えきれず市場から撤退する「退場者」が続出している。SNS上では「追証通知が来た」「資産が半減した」「もう相場から身を引く」といった悲鳴があふれており、冷静な投資判断を下すことが困難な局面となっている。
そして、ここでひとこと。
「この動画の中の人ももう相場からは退場しました。」
皮肉にも、この言葉が今の市場参加者たちの胸に深く刺さるのではないだろうか。
■ 今後の焦点は「信頼回復」と「グローバル協調」
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、
「米国の関税措置の影響で、今後の経済は予測しづらい。日本など各国の対応方針も定まっておらず、マーケットはしばらく落ち着かない状況が続くだろう」
と述べており、市場の混乱は一時的な調整にとどまらず、根本的な「信頼の回復」こそが今後の焦点となりそうだ。
果たしてこの急落が「底打ち」なのか、「長期的な調整の始まり」なのか──。その答えは、いまだ誰にも分からない。
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