2024年、自民党最大級の名門派閥「宏池会(岸田派)」が歴史に幕を下ろしました。
約70年にわたって「保守本流」を標榜し、日本政治の中枢を担ってきたこの派閥の解散は、単なる人事や政局を超え、日本の保守政治における地殻変動とも言える出来事です。
この記事では、宏池会の歴史・思想・歴代総理・岸田前総理による解散決断の背景、統一教会問題との関係、そして2025年4月時点の派閥後継の動きについて詳しく解説します。
■宏池会とは:自民党内で最も長い歴史を持つ「知性派の保守」
宏池会は1957年、池田勇人元首相によって創設されました。
「保守本流」とされるのは、宏池会が掲げてきた政治理念にあります:
積極的な経済政策重視(成長重視)
日米同盟を基軸とした現実外交
官僚との協調を重視する穏健リベラル保守
安定した議会運営と調整型リーダーシップ
こうした姿勢から「知性派・理性派の保守」とも呼ばれ、自民党内でリベラル寄りの立場を担ってきました。
■歴代の宏池会出身総理大臣(5名)
宏池会は自民党内で、歴代最多クラスの総理大臣を輩出した派閥です:
総理大臣 | 任期 |
---|---|
池田勇人 | 1960~64年 |
大平正芳 | 1978~80年 |
鈴木善幸 | 1980~82年 |
宮沢喜一 | 1991~93年 |
岸田文雄 | 2021~2024年 |
いずれも“調整型”のリーダーであり、「ガツガツ前に出ないが、じっくり粘る」スタイルが特徴です。
■「岸田派」としての終焉──2024年9月、宏池会は正式解散
2024年、自民党派閥の政治資金パーティー問題が発覚し、宏池会もその対象に。
岸田文雄総理(当時)は2024年1月に**「信頼回復のため」として宏池会の解散を表明**。その後、9月2日付で総務省に正式に解散を届け出ました。
解散理由:「国民の信頼なくして政治の安定はない」と岸田氏は明言
残余資金:自民党本部へ寄付
派閥事務所:完全閉鎖
これにより、自民党の中でも伝統ある保守本流派閥が消滅するという異例の事態となりました。
■統一教会との関係は?宏池会は比較的“距離を取っていた”派閥
自民党と統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係が問題視される中、宏池会=岸田派は比較的距離を置いていたとされています。
宗教団体への依存度は低め
岸田氏自身は「関係を見直す」と早期から表明
派閥としての選挙支援や癒着は限定的だったとされる
しかし、派閥単位での政治資金の不透明さは統一教会問題とは別に、制度的な問題として非難を受けました。
■“ドン”は誰だったのか?影で支えたキーマンたち
宏池会には、表舞台に出る総理経験者とは別に、長年派閥を支えた**実力者(ドン)**も存在しました。
宮沢喜一:財政政策に精通、知性派の象徴
古賀誠:実務派として長年裏方を統率
林芳正:次期エースと期待されつつも踏み切れず
特に、岸田政権で外相や官房長官を務めた林芳正氏は、ポスト岸田の軸と見られていましたが、宏池会の解散により明確な「ドン不在」状態となっています。
■2025年4月現在:派閥なき後、岸田派メンバーの行方は?
解散後の岸田派メンバーは、主に以下の3つの動きに分かれています:
無派閥での活動継続(岸田文雄・林芳正など)
新しい勉強会への参加(政策集団の再構築を模索)
他派閥への移籍検討中(茂木派・麻生派など)
とはいえ、「宏池会の理念」を明示的に引き継ぐ後継派閥や組織は現時点で存在していません。
岸田前総理は「ポスト派閥時代」に向けた改革を語っていますが、党内では「権力の空白」と見る向きも強まっています。
■まとめ:保守本流・宏池会の解散は、自民党の構造変化を象徴している
観点 | 内容 |
---|---|
派閥名 | 宏池会(岸田派) |
創設 | 1957年、池田勇人元首相 |
歴代総理 | 池田、大平、鈴木、宮沢、岸田の5名 |
政治理念 | 穏健・現実的・経済重視の“保守本流” |
解散理由 | 政治資金問題への対応、信頼回復を目的に岸田前総理が決断 |
現在の状況 | 解散済。メンバーは無派閥化か再編模索。宏池会の再興は未定 |
2025年4月現在、宏池会の“精神的継承”を掲げる政治グループの台頭は見られず、自民党の派閥再編は「まだ過渡期」にあります。
保守本流の系譜が本当に終わったのか、それとも再び新たな形で再興するのか──注目が集まっています。
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