2025年4月、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が10億円の寄付を募るという異例の方針を発表しました。
背景には購読者の減少と、それによる財政危機があります。
ただの新聞社ならここまでの騒ぎにはなりません。
しかし「赤旗」は新聞というより、共産党の組織を支える“中枢”に近い存在です。
この記事では、赤旗がなぜ今も日刊紙にこだわるのか、そして寄付要請が意味するものは何なのか──
その構造と時代とのズレを、次の4つの視点から整理します。
(1)なぜ赤旗は「日刊紙体制」にこだわるのか?
赤旗は、民間メディアではなく政党の公式機関紙です。
しかも、共産党にとってはただの「広報紙」ではありません。
全国の党員・支持者に政策や党方針を素早く伝える「情報ネットワーク」
地域ごとの報告や方針を通して組織の統一を維持する「統制装置」
党員の学習教材や思想教育の役割も担う「政治教育メディア」
つまり赤旗日刊紙は、共産党の統制・動員・思想共有を同時に実現するツールなのです。
だからこそ、
「ネット時代なんだから週刊でいいじゃないか」「PDF配布で十分では」
という声に対しても、党は首を縦に振りません。
紙で毎日届くこと自体が、共産党組織の命綱であり、
「新聞の形をした政党中枢」だからこそ、日刊という形式を崩せないのです。
(2)赤旗購読料が共産党財政を支えてきた構造
共産党は政党交付金を受け取らない、唯一の国政政党です。
これは理念的なこだわりでもあり、実質的な戦略でもあります。
その代わり、党の活動資金は以下の3本柱で構成されてきました:
財源 | 概要 |
---|---|
党費 | 党員からの月額納入金 |
赤旗購読料 | 一般党員・支持者による自発購読 |
寄付 | 一部支持者や団体からの献金 |
中でも赤旗の購読料(特に日刊紙と日曜版の収入)が圧倒的な柱です。
実際、共産党の公表資料でも、赤旗の購読収入は年間数十億円に達していました。
つまり、赤旗は「新聞事業」ではなく、
組織を支える“自己資金エンジン”としてのメディアだったのです。
(3)高齢化・紙離れ・社会変化で購読モデルが限界に
しかしその構造も、時代の変化には抗えません。
高齢の党員・支持者の購読中止や死亡による購読減
若年層の紙メディア離れ、デジタル中心の情報取得
共産党そのものへの支持層の縮小
地方組織の人手不足により“赤旗配達”体制が維持困難に
2024年末の時点で、赤旗の購読者数は大幅に減少し、ピーク時の半数以下とも言われています。
紙を印刷し、配達するというモデルはコストも高く、
購読者減と印刷経費増が同時に進行する中で、
持続可能性が崩れつつあるのが現状です。
特に、党外の一般読者が減少していることは深刻です。
以前は赤旗独自の調査報道や情報ソースが一部市民層に評価されていましたが、
近年はSNS・YouTubeなどの多様な情報チャネルの出現により、その強みも薄れています。
(4)寄付要請は「延命措置」にすぎない
共産党が打ち出した「10億円寄付の呼びかけ」は、
単なる資金集めではなく、赤旗という組織中枢の延命要請に近いものです。
しかし、これは構造問題の根本的な解決にはなっていません。
購読者の自然減は止まらない
紙配達モデルは時代と逆行している
若年層との接点は限られている
日刊体制はコスト構造の負担要因そのもの
つまり、**「寄付であと数年持たせる」**だけで、
抜本的な転換(たとえば完全電子化や、メディア統合など)がなければ、
再び同じ問題に直面するのは時間の問題です。
にもかかわらず、党としては
「日刊赤旗の維持」が目的化しており、
“新聞事業”をやめる=党の空中分解に直結するという矛盾を抱えています。
✅ まとめ:赤旗の危機は、共産党組織全体の構造危機
観点 | 現実の構造 |
---|---|
なぜ日刊にこだわる? | 情報伝達・統制・思想教育のため、党の中枢インフラ |
財政構造 | 赤旗の購読料が収入の柱。交付金なしの独立体制 |
限界の要因 | 高齢化・紙離れ・党勢縮小による購読維持の困難 |
寄付要請の本質 | 一時的延命策であり、構造的問題の根本解決ではない |
赤旗は今、**“情報メディア”としての意義と、財政エンジンとしての現実”**の間で揺れています。
日刊紙体制を維持するのか、それとも時代に合わせた抜本的改革に踏み出すのか──
これは共産党にとって、「赤旗の未来」というより、
「党の存続モデルそのもの」を問う分岐点です。
🎥 動画・SNS向けハッシュタグ
#しんぶん赤旗 #赤旗財政危機 #寄付要請 #共産党の構造問題 #日刊紙の限界 #紙離れ #党財政の現実 #情報発信と統制 #赤旗は誰のため #構造的延命措置