▶ 序章:寺はなぜ税金を払わないのか?
「なぜ寺や宗教法人は税金を払わないのか?」
そんな疑問を持つ人は少なくありません。実際、伝統仏教の寺院は巨額の不動産を保有し、葬儀や法要で多くの収益を得ているにもかかわらず、非課税のままです。
その裏には、政治との深いつながりと、宗教法人法という特別な法律の存在があります。
▶ 宗教法人法とは? ― 優遇される理由
宗教法人法(1951年施行)は、戦後の政教分離の原則に基づいて制定されました。宗教の自由を保障するために、宗教団体に以下のような特権が与えられています。
優遇内容 | 実質的な利益 |
---|---|
固定資産税の非課税 | 墓地・納骨堂・本堂などが課税対象外 |
法人税・住民税の非課税 | 葬儀・法要・供養料も非課税扱い |
財務の非公開制 | 会計報告の義務なし、資産構造も外部からは不透明 |
行政の干渉制限 | 解散や調査には非常に高いハードル |
▶ なぜ改正されないのか?―― 政治との“静かな癒着”
宗教法人法の問題点は以前から指摘されてきました。特に1995年のオウム事件や、2022年の旧統一教会問題をきっかけに「宗教法人の優遇見直し」が議論されましたが、法改正には至っていません。
その理由は明確です。
▷ 自民党との票田関係
地方の寺院は地域共同体の中心であり、檀家のネットワークを通じて選挙に影響を与える存在。
自民党はこの票田を無視できず、改正に及び腰。
▷ 公明党・創価学会の影響
宗教法人への締め付けは、創価学会=公明党の基盤にも直結。
与党内の反発が大きく、手がつけられない。
▷ 宗教界のロビー活動
仏教界(浄土真宗、真言宗、天台宗など)は文化財保護・地域貢献の名目で政治家・文化庁に陳情。
水面下で制度維持のためのロビー活動を展開している。
▶ 仏教界の「静かな防衛戦略」
伝統仏教は表立って政治活動をすることは少ないですが、
檀家組織による地縁政治
文化庁との調整ルート
自治体との観光連携
などを通じて、政治的な影響力を静かに維持しています。
いわば、寺院は**選挙に動員されずとも政治に強く作用する“無言の権力”**です。
▶ 終わりに:見えない“既得権”としての宗教法人
宗教法人は、もはや宗教活動のためだけの存在ではありません。
不動産・金融・観光・教育を跨ぐ経済組織として、政治の世界とも密接に絡み合っています。
そしてその優遇制度は、「宗教法人法」という盾によって守られ、容易に崩されることはありません。
それが「寺は税金を払わない」最大の理由です。
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