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出会い支援に100億円:その先に本当に結婚はあるのか?

こども家庭庁が進める、マッチングアプリや結婚支援事業への公費投入政策は、出会いの機会を増やすことによって少子化対策につなげようとするものだ。しかし、その根本的な問いはこうだ——「出会いを増やすだけで、本当に結婚が増えるのか?」

今や結婚の主なきっかけがマッチングアプリになりつつあるという調査結果もあるが、それはあくまで“きっかけ”に過ぎない。結婚、そして出産・子育てというライフステージを歩むには、出会い以上に“続けられる社会基盤”が必要である。


▶ 出会い支援の構造的な限界

いくらマッチングアプリを支援しても、若者たちが結婚・出産に踏み切れない要因の多くは"出会い"の先にある。すなわち、社会不安や生活基盤の不安定さだ。

若者の主な不安要因:

  • 【雇用】 正社員になれず、非正規や不安定な働き方が常態化。共働きでさえ生活が厳しいケースも多い。
  • 【住宅】 家賃が高く、都市部ではワンルームでも負担が重く、結婚後の生活がイメージできない。
  • 【教育費】 子ども1人あたり2,000万円とも言われる教育費が、将来の設計を萎縮させる。
  • 【保育】 共働きしたくても保育園が足りず、育児の負担が片方に偏りやすい。
  • 【老後】 自分たちの将来設計も不透明な中で、親の介護問題も重くのしかかる。

つまり、"出会ったあと"の社会構造が壊れているため、そもそも家庭を持とうという動機そのものが成立しにくいのだ。行政の支援が“出会いの場”だけにとどまる限り、根本解決には至らない。


▶ 出会い支援よりも成果連動型支援へ

もし100億円の公費を使うのであれば、出会いの"可能性"に賭けるよりも、"成果"に対して支給する政策の方が建設的ではないか?

アイデア案: 成婚一時金や出産一時金の拡充

  • 結婚したカップルに対して、一律100万円の給付を実施(一定の継続年数などの条件付き)
  • 出産一時金を上積みし、第1子・第2子だけでなく、第3子以降にはさらに手厚く
  • 偽装結婚・不正申請対策として、後払い方式や住民票・税情報との連携を活用

成果に基づいた支援であれば、費用対効果の可視化も容易になり、国民の納得感も得られやすい。税金の使い道としての正当性も高く、政治的な支持も得られやすいだろう。


▶ 真に必要なのは「安心してライフプランを描ける社会」

若者が「けっこん、しよっか」と思える社会の必要条件は、マッチングアプリや結婚イベントなどではない。**結婚後の生活に対する“安心感”**こそが本質である。

本当に必要なポリシー:

  • 安定した雇用: 正社員登用の促進や最低限の生活保障が必要
  • 住宅支援: 結婚・子育て世帯に対する家賃補助や低利ローン制度の拡充
  • 教育費の抑制: 高校・大学無償化、奨学金返済免除など
  • 育児インフラの充実: 保育所の増設、病児保育、学童保育の充実
  • 労働の多様性: リモートワークや時短勤務の制度化と普及

これらの基盤が整っていなければ、出会いをいくら増やしても、結婚数や出生数は積極的には変わらないだろう。


▶ 結論

出会いの機会を増やすことは、きっかけとしては大切かもしれない。だが、そのきっかけを生かして結婚・出産へとつなげるには、その後の人生を歩めるだけの“土台”が必要だ。

マッチングアプリの支援や婚活イベントの開催だけでは、家庭を築くという重い決断を後押しすることは難しい。むしろ、社会全体が「結婚してもなんとかなる」「子育てをしても潰れない」という確かな安心感を与えることの方が、より本質的で持続的な効果をもたらす。

出会いは、安心の上にしか成立しない。 「この社会なら家庭を持っても大丈夫」と思える社会の構築こそが、本当の少子化対策である。


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