◼ はじめに
少子化対策として、2004年から2022年までに累計65兆円以上が費やされてきた日本。にもかかわらず、出生数は減少の一途をたどり、こども家庭庁の三原じゅん子大臣は「検証はこれから」と明言した。この言葉は、長年続けられてきた少子化対策の実効性が、いまだに確認されていないという驚くべき現実を物語っている。
だが、問題は単に「成果が出ていない」ことではない。むしろその巨額の予算が、検証も評価もされないまま、利権構造に組み込まれていることこそが、深刻な問題である。
◼ 政策に目標なし、検証なし、責任なし
三原大臣は「出生数の目標は掲げない」「検証はこれから」と発言。これはつまり、これまで投入された数十兆円に対して、
- 成果指標(KPI/KGI)が定められていなかった
- 成果が検証されていない
- 誰も責任を取らない
という状況を認めたに等しい。 政策の目的が曖昧で、成果の検証もなければ、それは「気持ち」や「姿勢」の表明にすぎず、国家の施策としての意味を成さない。
◼ 「子育て支援」という名の利権構造
巨額の予算が投じられながらも、少子化が改善しない背景には、「金を突っ込まれる側」の問題がある。
● NPO・一般社団法人への不透明な委託
少子化対策費は、大小さまざまな補助金・助成金・委託費として、民間の団体やNPOに流れている。中には、実態の不明確な団体が「常連」として何年も予算を受け取り続けるケースも存在する。
● 成果が評価されない事業
例えば、「地域子育て交流事業」や「若者の結婚支援イベント」など、耳障りの良い名目で組まれる事業は数多いが、そのほとんどは、
- 成果指標が設定されていない
- 定量的な評価がなされない
- 形式的な報告書で終わる
といった構造になっており、実質的には「補助金ビジネス」と化している。
● 地方政治と癒着するケースも
さらに、地方議員や首長と癒着した特定団体に予算が集中する例もあり、「子ども」「少子化対策」といった名目が、予算確保のための“免罪符”になっている現実がある。
◼ 山里亮太の的確な指摘
番組で山里亮太氏が語った「目標がなければ、政策の評価ができない」「検証もしなければ、評価もできない」という発言は極めて本質的だ。
それにもかかわらず、政府が数値目標を掲げず、検証も「これから」と述べるのは、結果が問われない構造を自ら肯定する姿勢にほかならない。
◼ 結論:支援の皮を被った予算浪費からの脱却を
65兆円を投じて、いまだに出生数は過去最少。検証はされず、利権だけが太る。これが今の「少子化対策」の実態である。
- 本当に必要なのは、目標の明確化と成果の可視化
- 補助金や事業の徹底した第三者評価
- 政策効果に基づく予算配分の見直し
「子どもたちの未来のため」と語るなら、まずはその“未来”を真剣に設計すべきだ。今必要なのは、美辞麗句ではなく、責任と検証である。