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“党則に従う”覚書の舌の根も乾かぬうちに──山尾志桜里氏と比例擁立の是非

■ 問題の構造:なぜ今、山尾氏が物議を醸しているのか

山尾志桜里氏が再び注目を集めている。その理由は、国民民主党の参議院比例区候補として擁立されるにもかかわらず、党の基本方針と真っ向から対立するような行動に出ているからだ。とりわけ、「女系天皇容認」の立場を明確にし、漫画家・小林よしのり氏と連携して「愛子天皇実現」イベントの中心に立っていることが波紋を広げている。

■ 覚書の存在と、それを反故にするような言動

山尾氏が国民民主党から比例擁立されるにあたり、党内だけでなく支持層や無党派層の間でも激しい賛否が巻き起こった。その調整の結果として、山尾氏自身が「党則・党方針に従う」旨の覚書を書いたとされる。これは、山尾氏の信念重視の政治スタイルに対して、党として最低限の秩序を保つための措置であった。

しかし、その舌の根も乾かぬうちに、党の基本路線である「男系男子による皇位継承の維持」に明確に反する言動を取りはじめた。女系天皇容認を求める運動の最前線に立つ姿勢は、党内調和を崩しかねないものである。

■ 支持率下落との因果関係と山尾氏の過去問題

このタイミングでの山尾氏擁立と一連の発言・活動は、保守層を中心にした国民民主党の支持者に不安と不信をもたらしている。実際、山尾氏の擁立発表以降、地方議員や地域組織から「比例で彼女を出すなら支援は難しい」との声も出ており、政党支持率もやや下落傾向にある。党のイメージや組織運営に対する実害が生じつつあるのが現実だ。

さらに根本的な問題として指摘されているのは、山尾氏自身の過去に関わる一連の疑惑やスキャンダルである。具体的には、政治資金の私的流用とされるガソリン代・コーヒー代の不自然な計上、不倫報道、さらにはその不倫相手の妻が自殺したとされる件などが挙げられる。また、保育園不足に関するブログ「日本死ね」を国会でセンセーショナルに取り上げた手法にも批判が集中した。

これら一連の問題に対して、山尾氏は十分な説明責任を果たさないまま政界を離れ、一度は引退の形を取っていた。その後、説明も謝罪もないまま復帰し、比例代表としての擁立が進んでいることが、党内外で「信頼回復なき復帰」として強い反発を招いている。

■ 政治的リスク:政党としての一貫性と信頼性の揺らぎ

党首である玉木雄一郎氏が「静謐な環境での立法府の合意形成」を重視し、男系男子の皇位継承を基本方針とする中、山尾氏はそれに明確に異を唱える行動をとっている。しかもそれを党の内輪の議論にとどめるのではなく、世論喚起イベントで先導するという形で実行しているため、党内外から「統一感のなさ」「信頼性の欠如」が指摘されるのは避けられない。

■ 結論:擁立の是非が問われるべき段階に来ている

山尾氏は論客として優れた能力を持ち、政策的にも鋭い観点を示す政治家であることに疑いはない。しかしながら、党の立場と真逆の運動を展開することが常態化すれば、それは「多様性」ではなく「内部崩壊」へとつながりかねない。参院選の比例候補として公認し続けることが、果たして党にとってプラスかマイナスか──その問いが、今まさに突きつけられている。

 

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