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2025年の早すぎる梅雨明けがもたらす日本の米不足リスク

2025年6月27日、気象庁は九州北部・南部、四国、中国地方、近畿における梅雨明けを発表しました。東日本でも梅雨前線が離脱傾向にあり、梅雨明けは秒読みと見られています。これが確定すれば、統計開始以来、九州南部を除く地域で最も早い梅雨明けとなります。

一見、晴天が続き過ごしやすくなるようにも感じますが、農業、とりわけ稲作にとっては深刻なリスクとなりつつあります。


空梅雨と猛暑がもたらす米づくりへの影響

水温の異常上昇

空梅雨により田んぼの水温が急上昇し、通常30℃程度の水面温度が36℃以上になる地域も確認されています。こうした異常高温は稲の根の働きを弱らせ、生育を阻害するおそれがあります。

高温障害による品質劣化

稲の出穂期(穂が出る時期)から登熟期(実が成熟する時期)に高温が続くと、「白未熟粒」や「胴割粒」といった品質劣化が発生します。これは見た目が悪くなるだけでなく、精米歩留まりや等級の低下を招きます。2023年には猛暑の影響で一等米比率が**過去最低の59.6%**にまで落ち込みました。

生育期間の短縮と水不足

梅雨明けが早まることで、生育期間中の水源確保が困難になります。水が不足すると、稲の登熟が不十分となり、収量そのものが減少します。


備蓄米はすでに底をつきかけている

2024年の猛暑も影響し、全国的に作柄が悪化。特に九州を中心に4万トン規模の収量下方修正が行われ、備蓄米の放出によって価格の安定を図る事態となりました。

しかしその代償として、2025年6月時点での備蓄米はほぼ底をつきかけている状態とされています。つまり、今年も不作となった場合、放出できる余剰米がないという深刻なリスクを抱えています。

さらに、高温耐性品種の導入は進んでいるものの、全国的な切り替えには時間がかかり、気候変動に対する即効性のある打開策は乏しいのが現実です。

加えて、2025年の米価安定を目的に小泉農林水産大臣の判断で大量の備蓄米が市場に放出された政策判断についても、結果的に今期の備蓄余力を失わせたとの批判が一部にあります。この判断が「将来の不作リスクを軽視した場当たり的対応」だった可能性は否定できず、取り返しのつかない結果となる懸念も浮上しています。


今後の懸念と私たちができること

  • 7~8月の気温と降雨量が、2025年産米の品質と収量を左右する重要な期間となります。
  • 備蓄が底をついている今、仮に今年も高温・少雨が続いた場合、需給バランスが一気に崩れ、価格急騰や品薄が起こる可能性もあります。
  • 家庭単位での早めの米の備蓄、地元農家の動向に関する情報収集、政府の農政対応にも注目が必要です。

まとめ:早すぎる梅雨明けがもたらす2025年の米危機

2025年の記録的な梅雨明けの早さと猛暑は、米づくりにとって大きな逆風となっています。空梅雨・高温障害・水不足といった複合要因により、品質低下や収量減少が現実味を帯びており、深刻な米不足の可能性が否定できません。

そして、すでに備蓄米は底をつきかけており、今年の不作が現実となれば、消費者への影響は避けられないでしょう。気候変動と食料安全保障の問題が、いま日本の「食卓」にも迫ってきています。

 

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