はじめに
「男女共同参画」と聞くと、多くの人がDV対策、女性の就労支援、育児と仕事の両立支援など、社会的に意義のある活動を想像する。しかし実際には、一部の自治体や団体において、「男女共同参画事業」という名目で行われているイベントの中身が、本来の目的と大きく乖離しているケースが多く見られる。
問題の所在
ある自治体が公開していた「男女共同参画イベント一覧」には、以下のような内容が並んでいた:
- フラダンス/ヒゲダンス教室
- 韓国語講座/韓国文化体験
- アロマセラピー/カレー作り
- TWICEのサビだけ踊る会
- お菓子教室/バルーンアート
- ゴスペル/アカペラ教室
一見、地域住民向けのカルチャー教室のようにも見えるが、これらが「男女共同参画」の名の下で開催され、公費が使われていることに疑問の声が上がっている。
問題点①:理念の逸脱
男女共同参画の基本理念は、ジェンダーギャップの是正や、社会参画の推進にある。しかし、趣味・娯楽中心のイベントがこれに該当するとは言い難く、「女性が楽しく参加できる場を作ったからOK」というレベルで済まされているケースがある。
問題点②:成果の不透明さ
多くの事業は「参加者〇人」「アンケートで満足度90%」といった数値を成果として提示しているが、それが実際にジェンダー平等や社会参画にどう寄与したのかは不明である。実質的に、成果検証が行われていない。
問題点③:委託先団体との癒着
一部では、イベントの運営が特定のNPOや団体に毎年委託され、選定プロセスが不透明なまま継続している実態がある。いわゆる「公金チューチュー」構造であり、補助金を利用して関係団体の温存と利益供与が図られている可能性も否定できない。
問題点④:本当に支援を必要とする層への無関心
DV被害者、ひとり親家庭、非正規女性労働者、介護との両立に悩む中高年女性など、男女共同参画が本来支援すべき層に向けた取り組みが希薄で、単なるカルチャーイベントに予算が流れている現実は深刻である。
まとめ
男女共同参画事業は、本来社会にとって非常に重要な意義を持つ取り組みである。しかしその名を借りて、公金が中身の伴わないイベントに流用されるような構造が放置されていれば、制度自体の信頼性を失うことになる。今後は、以下の点が求められる:
- イベント内容の精査と選定基準の見直し
- 成果評価の制度化
- 予算の透明化と使途の公開
- 真に支援が必要な層への重点的支援
納税者としての当然の視点から、こうした実態には厳しい目が向けられるべきである。