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横浜市長選2025:山中竹春氏が圧勝、無風選挙の実態とその意味

2025年8月3日に投開票が行われた横浜市長選挙で、現職の山中竹春氏(52)が再選を果たした。与野党相乗りの支援を受けた盤石な体制により、新人5人を大きく引き離しての圧勝となった今回の選挙は、明確な争点が欠け、投票率の低下とあいまって「無風選挙」と化した感が強い。本記事では、その背景と今後の横浜市政の課題について考察する。

自公立憲の相乗りで争点不在の選挙に

山中氏は無所属ながら、自民党横浜市連、立憲民主党神奈川県連、公明党市内3総支部の支援を受け、与野党による「事実上の相乗り体制」を築いた。これにより、事前の情勢調査や出口調査でも常に圧倒的優勢を維持し、事実上の信任選挙となった。

一方、他の新人候補者は政策的な個性や独自の主張を展開していたものの、組織票や知名度、地元基盤の面で劣り、選挙戦の中で埋没した形となった。特に、田中康夫氏(元長野県知事)や福山敦士氏(36歳)など、全国的には一定の注目を集める人物もいたが、有権者の多くにとっては「現職で問題ない」という空気が支配的だった。

投票率41.64%:前回から7.41ポイント減

横浜市選挙管理委員会によれば、今回の投票率は41.64%で、2021年の49.05%から大幅に低下した。背景には、争点不在による関心の低下と、既に結果が見えていたという空気がある。特に、投票に積極的な高齢層が引き続き選挙を支配しており、若年層の政治的無力感がさらに広がったといえる。

「大きな政府型」の政策路線

山中氏は1期目で、18歳までの医療費無償化や中学校給食の拡充、地域交通の支援など、生活支援型・福祉重視の政策を展開してきた。これらは一定の市民満足を得ているが、同時に「ばらまき型」「保守的」「成長戦略に乏しい」との指摘もある。

とくに、IR誘致撤回後の都市成長戦略が明確に打ち出されていないことに対し、民間活力や経済政策を重視する層からは不満の声もある。横浜が全国でも数少ない人口増加中の都市であるにもかかわらず、その成長を活かす民間投資や企業誘致、雇用創出といった視点は乏しいままだ。

今後の横浜市政への期待

今回の選挙で再任された山中市長には、これまでの「守りの政治」から一歩進み、横浜の潜在的な成長力を引き出す「攻めの行政」が求められる。人口増加というポジティブな要因を活かし、税収増や雇用創出へとつなげるためには、行政による給付や支援だけでなく、民間を活性化させるビジョンと仕組みが不可欠だ。

 

再選はゴールではなく、新たなスタートである。山中氏がこの4年間で、どれだけ「創る政治」に転換できるかが、横浜の未来を左右する。

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