2025年夏の甲子園に出場した広陵高校野球部は、部内での暴行・傷害、性被害が告発され、第三者委員会による調査が進行中です。問題は加害行為そのものだけではありません。外部からの批判や情報を遮断し、指導者への過度な崇拝と一族による権力集中が見られる“カルト的統制構造”が浮き彫りになっています。
1. 外部情報の遮断
中井哲之監督は、甲子園出場中に選手たちからスマートフォンを預かり、広島に置かせたと明言。さらに、部員には暴行事件の詳細や世間の反応を伝えていないとしています。これは、外部からの批判的情報や異論が部員に届かないようにする、典型的な情報統制の手法です。
特徴例:
- カルト団体:メディアやネットへの接触制限
- 全体主義国家:国外・反体制情報の遮断
- 体育会系ブラック部活:大会期間中の外部連絡制限
2. 指導者への過度な崇拝
「尊敬する人物は?」という問いに、レギュラー全員が中井監督と回答。これは健全な指導者尊敬の範囲を超え、価値観が単一化されている兆候です。異論や多様な視点が排除される環境は、内部批判の不可能化につながります。
特徴例:
- カルト宗教:教祖を絶対視
- 軍隊的組織:指揮官への絶対服従
3. 権力の一族集中
広陵高校野球部の運営は、中井哲之監督、中井惇一コーチ(監督の親族と推測)、寮母(監督の妻)といった構成で固められています。重要ポストの多くが一族で占められており、さらに学校長は広島県高野連の副会長を務めているため、外部の牽制機能や第三者的視点が組織内で機能しにくい状態となっています。
特徴例:
- 同族経営ブラック企業:親族による経営層独占
- 閉鎖的スポーツ組織:監督家族によるチーム運営
4. 外部監視の欠如
広島県高野連の副会長が学校長を務める体制により、高野連・学校・野球部の間に強い人脈的結びつきが形成されています。このため、外部からの独立した監視や是正が機能しにくい構造です。
特徴例:
- カルト団体:内部完結の裁定システム
- 政治的癒着構造:権力機関同士の相互保護
まとめ:単なる不祥事ではなく構造的危険性
広陵高校野球部の問題は、暴行事件の有無や程度を超えて、情報統制・指導者崇拝・権力集中・外部監視欠如といった“カルト的統制構造”にあります。これらは、
- 内部告発の困難化
- 被害者の孤立化
- 不祥事の隠蔽 を招く土壌となり、同様の問題が繰り返される危険性を高めます。
高校スポーツにおける真の健全化には、競技力向上と同時に、こうした統制構造の是正と透明性の確保が不可欠です。