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広陵高校、甲子園出場を辞退 被害者家族SNS告発と学校説明に食い違い 性被害は「新たな事実なし」も刑事手続きへ発展の可能性

第107回全国高校野球選手権大会に出場していた広陵高校(広島)は8月10日、出場辞退を発表した。堀正和校長は「全校生徒を守ることが最優先」と述べ、「再発防止に全力を注ぐ」と頭を下げた。
しかし、今回の暴力事案をめぐっては、学校側の説明と被害者家族のSNS投稿との間で事実認識に食い違いがあり、さらに被害者側は警察に被害届を提出しており、刑事事件として捜査が進む可能性もある。


■ 学校の説明:「4人が個別に胸を叩いた」

学校側は、今年1月に野球部2年生4人が1年生部員の部屋を個別に訪れ、胸を叩くなどの行為を行ったと説明。日本高野連は3月に「厳重注意」を決定した。
学校は「SNSで拡散している情報の中には事実と異なる内容もある」として、集団暴行や性被害などの追加事案は確認できなかったと強調している。


■ 被害者家族SNSとの食い違い

被害者家族がInstagramに投稿した内容では、「10人以上に囲まれて暴行を受けた」とされ、さらに野球部関係者が「事実に相違ない」と述べたとするやり取りも公開されている。
この証言は学校側の説明と大きく異なる。さらにSNSや週刊誌では「便器や性器をなめさせた」といった性被害の情報も出回っているが、これについて学校・高野連側は「新たな事実は確認できていない」としている。


■ 被害届提出と刑事手続きの可能性

被害者はすでに警察に被害届を提出しており、今後は高野連や学校の内部調査とは別に、刑事事件として捜査が進められる可能性が高い。
仮に暴行や傷害が認められれば、加害生徒は暴行罪や傷害罪に問われ、未成年であっても家庭裁判所送致や保護観察、場合によっては少年院送致の判断が下される可能性がある。
また、もし性被害が事実と認定された場合には、強制わいせつ罪などより重い罪に問われ、18歳以上であれば起訴・有罪・執行猶予、悪質であれば実刑判決となるケースも想定される。


■ 出場継続から辞退決定まで

広陵高校は8月7日の1回戦で旭川志峯(北北海道)に3-1で勝利し、2回戦進出を決めていた。当初は高野連も「出場に問題なし」としていたが、被害者家族のSNS告発が全国的に拡散し、批判が高まった。
8月9日に中井哲之監督が広島に戻り、理事会で「出場継続の難しさ」を報告。翌10日朝には選手たちが広島に帰還し、出場辞退が正式決定された。


■ SNS告発がもたらした方針転換

今回の事案は、当初は「問題なし」とされていたものが、SNS告発と世論の圧力によって覆された典型例だ。暴行により被害者が転校を余儀なくされたにもかかわらず出場が認められていた状況は、告発によって変化した。
この動きは、スポーツ団体や学校内の閉鎖的な処理から、司法の場へと事案を押し出す役割を果たしたともいえる。


■ 今後の焦点

第三者委員会の調査と並行して、警察がどのように事実認定を行うかが今後の焦点となる。仮に刑事責任が問われる場合、高野連や学校の処分とは別に、司法の判断が下されることになる。

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