導入文
地方政治の現場に突如登場した元迷惑系YouTuber・へずまりゅう氏。議員としての資質や経験不足が指摘される一方、SNSでは一定の支持を集め続けています。本記事では、彼の特徴的な「被害者ムーブ」や政治のエンタメ化がもたらす危険性について解説します。また、同時に地方自治への広報効果という側面についても考察します。
被害者ムーブとは何か
批判を逆手に取る姿勢
- 議員としての資質を問われる“至極当たり前”の指摘に対しても、被害者のように振る舞う。
- 「既得権益にいじめられている」「市民の声を代弁しているのに潰される」といった演出。
- これにより、批判がむしろ同情や応援に変換される。
SNS文化との親和性
- ネット空間では「正論よりもショー」がウケる。
- 大げさな表現や炎上対応のほうが拡散されやすく、結果的に“話題性”が評価につながる。
政治のエンタメ化の実態
炎上が燃料になる構造
- 炎上や批判が多いほど露出は増え、フォロワーや支持者が拡大。
- 本来は失点であるはずの場面が、逆に「エンタメ的な見どころ」になる。
「裸の王様」化の危険
- 支持があることで本人は「これで正しい」と錯覚。
- 政策理解や行政経験を積まずとも人気で正当化されてしまう。
- 市政に有益な議論が進まない恐れがある。
支持される背景
既存政治への不信感
- 従来の政治家に不満を抱く層が「既存政治を壊してくれる存在」として支持。
- 正攻法の政策論よりも、“型破りな行動”に期待が寄せられる。
弱者の代弁者的フレーミング
- 自らを「叩かれる弱者」と位置づけることで、アウトサイダー層からの共感を得る。
- 「れいわ新選組」の支持構造と似た面がある。
地方自治における広報効果
無関心層の注目を集める
- 通常は関心が薄い地方自治にスポットライトを当てた功績は大きい。
- 彼の存在によって議会や市政の話題がSNSやメディアで取り上げられ、若年層や無関心層が市政に触れるきっかけを得た。
「政治を身近にする」功績
- 本来なら届きにくい層に、政治がエンタメを通じて浸透した側面は無視できない。
- この広報効果は従来型の政治家には難しいアプローチでもある。
注目度による緊張感の高まり
- 注目が集まることで議会全体の緊張感も増し、議員一人ひとりの行動が監視されやすくなる。
- 居眠り議員や怠慢な姿勢への追及は、市民の信頼を高める健全な作用ともいえる。
今後の課題と展望
- 政治が“人気投票”や“推し活”に偏ると、政策能力が軽視される。
- 有権者が「面白さ」と「行政能力」を切り分けて評価できるかが問われる。
- エンタメ化した政治の中で、議会や市民の利益を守る仕組み作りが必要。
まとめ
へずまりゅう議員の「被害者ムーブ」や政治のエンタメ化は、短期的には注目を集め市政に関心を持たせる効果があります。その一方で、長期的には議会の空洞化や政策不在を招く危険性も孕んでいます。有権者が「裸の王様」を生み出してしまわないためにも、冷静に本質を見極める目が求められます。地方自治への関心を高める広報的効果は評価しつつも、その先にある政策実現力を問う姿勢が必要です。