「奈良公園の鹿はすべて守られている」と思っていませんか？実は、国の天然記念物である奈良のシカの一部は、農作物被害や過密状態を防ぐために駆除されている現実があります。観光客が触れ合う愛らしい姿とは裏腹に、区域によっては殺処分の対象となっているのです。
奈良公園の鹿の区分と管理体制
奈良県では「奈良のシカ」を保護しつつ、農作物被害や交通事故などを防ぐため、エリアを分けて管理しています。
- 保護地区（奈良公園・春日大社周辺）
完全保護。観光客が触れ合う鹿はこのエリアに属しています。 - 管理地区（農村部・山間部など）
農作物被害が深刻なため、年間180頭を上限に駆除を実施してきました。 - 緩衝地区（保護地区と管理地区の間）
これまでは生け捕りにして奈良公園内の「特別柵」で終生飼育。しかし過密や衰弱死が問題化し、2024年からは駆除を含む方針へ転換されました。
駆除方針転換の背景
奈良の鹿は古来より「神鹿（しんろく）」として大切にされてきましたが、近年は個体数の増加により以下の問題が顕在化しました。
- 特別柵内での過密状態 → 餌不足や衰弱死が相次ぐ
- 農作物被害や交通事故の増加
- 愛護と現実的な管理との矛盾
このため、有識者会議や奈良県は「終生飼育から、駆除を含む管理へ」という苦渋の方針転換を決定しました。
へずまりゅうと鹿保全アピール
YouTuberのへずまりゅう氏は、奈良公園で「鹿を守ろう」と必死にアピールを続けています。その姿勢は一部で注目を集めていますが、実際にはエリア外では殺処分が行われているという現実を知らない人も少なくありません。
「奈良の鹿はすべて保護されている」というイメージと、「一部は駆除されている」という現実。このギャップこそが、問題の本質だといえるでしょう。
まとめ
奈良公園の鹿は確かに国の天然記念物であり、守るべき存在です。しかし、個体数の増加や農業被害を前に、一部の鹿は駆除対象となっているのが現実です。へずまりゅう氏のように「鹿を守る」活動が目立つ一方で、区域によっては殺処分されているという事実は、広く知られていません。
奈良の鹿をめぐる課題は、「ただ守る」から「持続的に管理する」へとシフトしているのです。
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