はじめに
2025年10月、前澤友作氏が手がける投資サービス「カブアンド(KABU AND)」が開催した株主総会が“有料イベント”だったことから、投資家コミュニティを中心に大規模な炎上が発生した。
SNS上では、
今日カブアンドの株主総会(という名のイベント)やってるらしいけど参加するの普通に有料でワロタ — @chawan_wabita
といった投稿が拡散し、企業ガバナンス・IR姿勢への疑念が一気に広がっている。本記事では、この炎上の背景、問題点、そして投資家界隈で囁かれている“ある懸念”までを徹底的に整理する。
株主総会の有料化はなぜ異例なのか
株主総会は、会社法で定められた株主の権利行使の場である。
- 経営方針の説明
- 質疑応答
- 議決権の行使
これらは本来、株主が“無償”でアクセスできるべきものだ。
そのため、総会を“有料イベント化”するカブアンドの方式は、日本企業の慣行から完全に逸脱している。
有料化が招く主な問題
- 資金力の有無で参加可否が決まる
- 小口投資家の排除につながる
- 「不都合な質問対策なのでは?」という疑念が生まれる
- 投資家の権利を事実上制限する可能性
特に、株主平等原則(会社法109条)との整合性に疑問が生まれる点は重大だ。
カブアンドの“イベント化体質”が炎上を後押し
カブアンドは、スタートアップ特有のPR・イベント重視の傾向をもつと言われている。これ自体は悪いことではないが、
「株主総会をショーにするな」 「投資家は客じゃない、出資者だ」
といった批判が噴出している。
投資サービスである以上、
- 公平性
- 透明性
- 受益者保護
が求められるが、“イベント化”はその逆方向に向かってしまう。
投資家界隈で囁かれる“情弱搾取スキーム”疑惑
今回の炎上を最も深刻にしているのが、投資家層から出ている次のような声だ。
- 「結局、情弱集めて現金化するスキームなんだな」
- 「金融リテラシーが低い層を狙ってるようにしか見えない」
- 「投資プラットフォームというより“前澤ファンビジネス”化してる」
これは、カブアンドが持つエンタメ寄りの性質が、金融事業と噛み合っていないという指摘でもある。
“熱狂の現金化”への警戒
小口投資家を中心に、
「投資家ではなく“顧客”として扱われているのでは?」
という不信感が急速に拡大中だ。
本来、投資サービスは冷静な情報開示が柱になるが、
- イベント形式
- 有料化
- 熱量ベースのコミュニティ形成
といった方向性が、**「熱狂を換金するモデル」**として受け取られている点は、企業にとってリスクが大きい。
法律的にはアウトではないが“極めて危険な領域”
会社法には「無料で開催せよ」と明記されていない。しかし、
- 全企業が無料
- 権利行使は無償が通例
という“実務慣行”を見れば、今回の有料化は企業統治的にアウト扱いされても仕方がない。
カブアンドに求められる改善
この炎上により、カブアンドは次の点を再考せざるを得なくなった。
- 株主総会とイベントの完全分離
- 総会は無償で実施する体制の構築
- PRとIRを峻別するガバナンス整備
- 株主の質問・意見を受け付ける透明性
- “熱狂ビジネス”要素の排除
特に金融サービスでは、情緒ではなくロジックと説明責任が求められる。
まとめ:今回の炎上は“構造的な問題”の表面化
カブアンドの炎上は、「有料だったから」だけではない。
投資家が問題視している本質は、
- 株主の権利を軽視しているように見える構造
- PR偏重で事業の本質がぶれている点
- 透明性の低さ
- そして“情弱を囲い込む現金化モデル”への疑念
これらが複合して起きた、かなり重大なサインである。
カブアンドが今後も投資プラットフォームとして信頼を得たいなら、今回の炎上をきっかけに、ガバナンスの基礎から立て直す必要がある。