社民党、新垣邦男議員が離党意向を表明
2025年11月2日の速報により、社民党副党首であり、党唯一の衆議院議員である新垣邦男氏が離党の意向を正式に表明したことが明らかになった。離党届は10月31日に郵送され、福島瑞穂党首らが受理を拒否したため、郵送による提出となったと報じられている。
新垣氏は会見で、党勢拡大をめぐる福島党首との意見の不一致を理由として離党を決断したと説明。特に、福島氏の「衆院くら替え案」をめぐって考え方が合致しなかったことが背景にあるとしている。
衆院議席は“ゼロ”へ──党勢に直撃するインパクト
社民党は近年、議席数の減少に直面しており、新垣氏は党内で唯一の衆議院議員だった。そのため、新垣氏の離党が正式に成立した場合、
→ 社民党は衆議院議席がゼロになる可能性が極めて高い。
衆院での社民党の存在感はほぼ消滅することになり、政党要件や党運営にも影響が及ぶ可能性がある。
参議院議席は“福島瑞穂氏1名”のみ継続
一方で、社民党は参議院において比例選出の**福島瑞穂党首(当選5回)**が議席を保持している。したがって、
→ 社民党の国会議席は参議院の1議席のみとなる見通し。
この構図は党の発信力・国会質問権にも大きく影響するため、党運営の新たな局面を迎えることになる。
支持率低下と長期低迷の背景
社民党は1990年代には一定の存在感を持つ政党であったが、2000年代以降、支持率は長期的に低迷している。背景には以下のような要因が指摘されている。
● 組織力の弱体化
労働組合との組織的な結びつきが縮小し、選挙での動員力が低下。かつてのように「基盤票」が確保できない状況が続いている。
● 立憲民主党への支持流出
理念的に近い政党が増えたことで、社民党の立ち位置が曖昧化。特に立憲民主党への支持流出が顕著で、若年層からの支持獲得も困難になっている。
● 政策訴求力の不足
護憲・福祉型政策を掲げるものの、国民の生活課題や経済政策に対する具体的な訴求力が弱く、メディア露出も減少。結果として世論調査での支持率は1%前後で推移している。
● 党勢回復の糸口が見えない現状
今回の新垣氏の離党は、党内の求心力低下を象徴する動きであり、衆院議席ゼロが現実化すれば党の再建はさらに厳しくなるとみられる。
今後の社民党はどうなるのか──注目ポイント
● 福島氏の参議院議席が党の“最後の砦”に
国会での発言権は参院の1議席に限定されるため、質疑時間・党の存在感ともに縮小。政党要件(得票率2%以上)の維持も課題となる。
● 党改革・路線転換の必要性
党勢回復には、世代交代・政策刷新・デジタル発信力強化など抜本的な改革が求められるが、具体的な戦略は見えていない。
● 他党との連携強化の可能性
立憲民主党や国民民主党との協力・選挙区調整が加速する可能性があり「小政党連携」が再び重要テーマになるとみられる。