報道で使われる「認否を明らかにせず」とは
ニュースで警察発表を伝える際によく出てくる「認否を明らかにせず」という表現は、容疑者が“犯行を認めているか(認める)、否認しているか(否認)”、その態度を警察が公表しない状態 を指す。
つまり、
- 容疑者が供述しているのか?
- 認めている? 否認して争っている?
- そもそも黙秘しているのか?
これら 供述内容に関する情報を外部(報道)へ出さない という意味で使われる言葉である。
なぜ公表しないのか(主な理由)
● ① 捜査に支障が出る可能性
共犯者がいる事件や未解明の要素が多い事件では、容疑者の認否を出すことで捜査の方向性が外部に漏れる恐れがあるため、公表を控えることがある。
● ② 取り調べが初期段階で供述が固まっていない
事件直後は、容疑者の供述が変わることも多く、早い段階で認否を断言すると誤報につながる可能性がある。
● ③ 容疑者の権利保護・名誉保護
誤った情報が報じられると深刻な人権侵害になるため、慎重になる。特に否認中の容疑者の扱いはセンシティブ。
● ④ 家庭内事件・未成年・センシティブ案件
プライバシーに関わる事件ほど認否を出さない傾向が強い。
実際の「認否を明らかにせず」には複数のパターンがある
報道用語としては非常に広く、次のどれにも当てはまる。
- 容疑者が黙秘している(何も話していない)
- 認める・否認するのいずれかを警察は把握しているが、公表しない
- 黙秘しているという事実すら公表しない
つまり、「認否を明らかにせず」は、“供述内容についての情報を出さない” という総称 であり、必ずしも容疑者が曖昧な態度という意味ではない。
記者会見や発表文での定型表現
警察は次のように表現することが一般的:
- 「認否については捜査に関わるため差し控える」
- 「認否は明らかにしていない」
- 「供述内容については公表していない」
これらはいずれも 同じ意味(非公表) を示す。
少しだけ法的な用語としての「認否」について
報道用語の「認否」と同じ言葉だが、実務では意味が異なる。
● 法律上の「認否」
民事訴訟などで相手の主張した事実について、
- 認める(自白)
- 否認する
- 不知とする
など明確な態度を示す必要がある。
この文脈で「認否を明らかにせず」は、態度を示していないため不適切 とされるケースが多い。
→ ただし本記事では“おまけ”としての位置づけ
ニュース報道とは目的も意味も異なるが、同じ言葉が使われるため混乱しやすい。
まとめ
ニュースの「認否を明らかにせず」は、
容疑者の供述内容(認める・否認する・黙秘)が公表されていない状態 を意味する。捜査の保全や人権保護のため、警察が外部への発表を控える際に使われる定型表現である。